JP2-3 Judgeの7大「資質」③中立性を保つ

「公平性」「公正性」と、「中立性」はその意味合いに重なっている部分があるものの、超一流Judgeを目指さずともJudgeの資格を持つならしっかり頭の中で区別したいところです。

「中立」は「公平」であるかとか「公正」であるかとは概念がちょっと異なり、「対立するどちらの側にも味方しないこと。また、特定の思想や立場をとらず中間に立つこと」(小学館「デジタル大辞泉」)という意味を持ちます。

キャットショーのJudgeという立場に沿って考えれば、クラブ/ブリーダー/出陳者などの間で見解や意見の対立があったときに「どちらの側にも味方しないこと」であり、例えばStandardsの解釈などを巡って見解や意見が違った場合、できるだけ「中間に立つこと」という意味になります。

ここで勘違いしてもらっては困りますが、思考停止に陥って「知らぬ存ぜぬ」を貫く傍観者や部外者になることでは決してないということです。

「中立」の立場を貫くためには、対立する見解・意見の双方を理解し、そこにどういう問題点が潜んでいるか、解決策や落とし所がどこになりそうかを自分なりに分析・判断できなくてはなりません。

また、どちらかの見解・意見が正しいと判断した場合でも、単純に「同調」や「加担」「加勢」すればいいわけでもない点を理解する必要があります。

別の言葉に言い換えれば「バランス感覚」や「平衡感覚」と言ってもいいかもしれません。

「中立性」を保てれば「バランス感覚」や「平衡感覚」ある理解や解釈、判断ができますが、「中立性」を欠くとこれらの「感覚」がおかしくなり、どちらかに過度に傾いてしまうわけです。

クラブ員の不満や意見・要望を聞く時、出陳者の不満や意見・要望を聞く時も、同じように自分の中に「中立性」の軸がしっかりあれば「バランス感覚」や「平衡感覚」を失うことなく適切・適正な判断ができ、具体的な言動として示すことができます。

「公平性」「公正性」「中立性」はJudgeの審査における〝三種の神器〟みたいなものであり、どれかひとつが欠けていたり弱かったりすると適切・適正な審査はできません。

もちろん、TICA Judging Programに「公平性」「公正性」「中立性」が大切だとか、Judgeの「資質」として欠かせないなんて書いてあるわけではありません。

「RuleやManual、Programに書いてないから必要ない」とか「無視して構わない」などという浅薄な考えをしないでください。

なぜなら書いてなくても当たり前のことであり、暗黙の大前提だからです。

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