JP0-4 3つの根本原則、逐条解説②b

2つ目の「根本原則」についての解説を続けます。

②一流のJudgeではなく、超一流のJudgeを育成する(その2)

一流のJudgeと超一流のJudgeを分けるもの--。

この講座では、一流のJudgeを養成することはできても、超一流のJudgeを養成することはできず、意識的に超一流のJudgeを育成しなければならないとの前提に立っています。

そのひとつが「ノブリス・オブリージュ(noblesse oblige)」という観念というか概念を脳裏に焼き付けているか…ということであり、当然ながらTICA Judging Programに出てくるわけでも、スポンサーがその大切さを説いてくれるわけでもありません。

この観念を簡単に紹介すれば、19世紀にフランスで生まれたもので、「noblesse(貴族)」と「obliger(義務を負わせる)」を合成した言葉です。

ある解説を引用すると、

「身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会に浸透する基本的な道徳観である」

「法的義務や責任ではないが、自己の利益を優先することのないような行動を促す、社会の心理的規範となっている」

「最近では、主に富裕層、有名人、権力者が社会の規範となるようにふるまうべきだという社会的倫理として用いられる」

と書いてあります。

TICAという国際団体ながら小さな趣味の世界において、Judgeはそれなりの地位に就き、それなりの権力を持つわけですから、一般のTICAメンバーとは異なる「(Judgeという資格)に応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務がある」と言えることが分かるかと思います。

TICA Judging Programには「自己の利益を優先することのないような行動を促す、社会の心理的規範」の必要性や「権力者が社会の規範となるようにふるまうべきだという社会的倫理」を持つことの重要性など書いてありませんが、超一流のJudgeを目指すのであれば、そして超一流のJudgeを育成するのであれば、身に着けるべき必須の観念と言えるでしょう。

聖書のルカによる福音書第12章48節に「すべて多く与えられた者は多く求められ、多く任された者はさらに多く要求される」という言葉があり、noblesse obligeという言葉はこれに由来するともいわれています。

単にTICA Judging Programをクリアするのではなく、「noblesse oblige」という観念を自らの心の糧として、超一流のJudgeになるという高い志を持ってほしいと願ってやみません。

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